特定技能「宿泊」とは|制度の全体像と1号・2号の違い

特定技能「宿泊」は、宿泊業の人手不足に対応するために設けられた在留資格です。まずは制度の位置づけと、1号・2号で何が変わるのかを整理します。

特定技能は、一定の技能と日本語力を持つ外国人材が、即戦力として就労するための在留資格です。宿泊分野では、現場のサービス品質を担保しながら人手不足を補うことが制度の狙いで、採用担当は労務と入管手続きを一体で設計する必要があります。

実務上のポイントは、制度理解を採用広報や配属計画に落とし込むことです。例えば、どの業務を主業務として設計するか、支援体制を自社で持つか委託するかで、採用スピードと運用負荷が大きく変わります。

また、宿泊分野は接客・安全配慮・苦情対応など対人コミュニケーションが業務品質に直結します。制度要件を満たすだけでなく、現場で求める日本語運用力や接遇観を採用基準として言語化しておくと、入社後のミスマッチを減らせます。

制度の概要(創設年・対象施設・対象業務の範囲)

特定技能は2019年4月に創設された在留資格で、人手不足が深刻な分野に限り、一定の技能と日本語力を持つ外国人を即戦力として受け入れる制度です。宿泊分野は制度創設当初からの対象分野で、2023年には2号の対象にも加わりました。

対象となる施設は、旅館業法の「旅館・ホテル営業」の許可を受けた施設です(観光庁「宿泊分野における外国人材受入れ」)。従事できる業務は、フロント、企画・広報、接客、レストランサービスなど、宿泊サービスの提供に関わる業務です。後述するように、簡易宿所や民泊は対象外であり、清掃のみを担当させることもできません。

受け入れる側は「特定技能所属機関」として、雇用契約の締結、支援計画の作成・実施、協議会への加入、入管庁への届出といった義務を負います。本人の在留資格の問題ではなく、企業側の体制整備が制度の中心にあることを、最初に押さえておいてください。

1号と2号の違い(在留期間・家族帯同・支援義務・試験・技能要件)

特定技能には1号と2号があり、在留期間・家族帯同・支援義務・試験の面で大きく異なります。採用計画を立てるうえで最初に押さえるべき違いを表にまとめます。

表① 特定技能1号・2号の比較(宿泊分野)
特定技能1号特定技能2号
在留期間通算5年が上限更新に上限なし
家族の帯同不可可(配偶者・子)
支援計画作成・実施が義務不要
技能要件宿泊分野特定技能1号評価試験
(技能実習「宿泊」2号修了で免除)
宿泊分野特定技能2号評価試験+実務経験
日本語要件JFT-Basic または JLPT N4以上
(技能実習2号修了で免除)
受入れ見込み数の枠対象(宿泊 最大23,000人/2024〜28年度)対象外
宿泊分野での追加2019年4月(制度創設時)2023年6月9日閣議決定・同年8月31日施行

実務上の要点は2つです。1号は通算5年が上限で家族帯同ができないため、長期戦力として残すには2号への移行が前提になります。2号は在留期間の更新に上限がなく家族帯同も可能ですが、2号評価試験の合格に加え、宿泊施設で複数の従業員を指導しながらフロント・企画広報・接客・レストランサービス等の業務に2年以上従事した実務経験が必要です。

もう1つは支援義務の有無です。1号の受け入れには支援計画の作成・実施が義務づけられていますが、2号には支援義務がありません。2号への移行は本人のキャリアだけでなく、受け入れ側の運用負荷を下げる意味でも重要です。

技能実習・育成就労との関係

技能実習「宿泊」職種で2号を良好に修了した人は、技能試験と日本語試験が免除され、特定技能1号へ移行できます。国内で採用できる特定技能候補者の有力な供給源のひとつです。

技能実習制度は2027年4月1日に廃止され、育成就労制度に移行します(2025年9月26日閣議決定)。育成就労は特定技能1号への移行を前提とした制度設計で、宿泊分野も対象です。観光庁の協議会ページが「宿泊分野特定技能・育成就労協議会」として案内されているのは、この移行を見据えたものです。

本記事では特定技能の受け入れに絞って解説します。育成就労制度そのものの詳細は、施行に向けた運用要領の公表を待って別途整理します。

特定技能「宿泊」で従事できる業務・できない業務

受け入れ後のミスマッチや指導リスクを避けるため、配置できる業務範囲(主業務・付随業務)とNG例を具体的に把握しておく必要があります。

宿泊分野で最もトラブルになりやすいのは、配属後に実態が制度の想定から外れてしまうことです。求人票では接客と書いていても、実際は清掃中心になっているなど、業務の主従が逆転すると説明が難しくなります。

採用前に、主業務は何か、付随業務はどこまでかを現場と合意し、シフト表や業務分掌に落とし込むことが重要です。説明責任を果たせる運用設計ができているかが、監査や届出対応の強さになります。

また、兼務や繁忙期対応は宿泊業では当然に起こるため、例外を作るのではなく、ルール化しておくのがコツです。誰が判断し、どの期間なら許容し、記録をどう残すかまで決めておくと、現場が迷いません。

従事できる主な業務(フロント・企画広報・接客・レストランサービス)

主な業務は、宿泊サービスの提供に直結する領域です。フロントではチェックイン・チェックアウト、館内案内、会計、予約受付や変更対応などが想定され、現場では丁寧な日本語と正確な情報連携が求められます。

接客は、客室や館内での案内、問い合わせ対応、苦情一次対応などを含みます。宿泊業はサービスの正解が一つではないため、マニュアルだけでなく、判断基準やエスカレーション先をセットで教えることが早期戦力化の近道です。

レストランサービスでは配膳、下膳、オーダー受け、簡易な準備などが中心です。企画・広報は、館内イベントや販売企画、SNS運用補助、外国語での情報発信補助などが考えられますが、任せる範囲と責任を職位に応じて段階的に設計すると運用が安定します。

付随業務として認められる範囲(館内清掃・備品補充など)

特定技能「宿泊」の外国人は、主たる業務に加えて、同じ施設の日本人従業員が通常行う関連業務に付随的に従事することができます。客室の清掃や備品補充、館内の簡単な整備、配膳の補助などがこれにあたります。

ただし付随業務はあくまで「付随的」であることが条件で、宿泊分野の運用要領(PDF)は「専ら関連業務に従事することは認められません」と明記しています。清掃や館内販売のみに専従させる配置は不可です。一方、主たる業務については「試験等で立証された能力を用いてこれらの業務に幅広く従事する必要」がある一方で、「許可された在留期間全体の中の一部の期間においてフロント係に配置されるなど、特定の業務のみに従事することも差し支えない」とされています。期間を区切った配置は可能ですが、在留期間を通じて1業務だけに固定する設計は要件を満たしません。

採用側が誤りやすいのは、人手が足りない部署に合わせて配置を決めてしまうことです。清掃スタッフが足りないから特定技能人材を清掃専任にする、という配置は制度上できません。配置計画の段階で、主たる業務が宿泊サービスの提供になっているかを確認してください。

従事できない業務・配置NGの典型例

制度上できない配置と、指導の対象になりやすい典型例を整理します。

表② 業務・配置の可否判定リスト
業務・配置可否条件・根拠
フロント(チェックイン・予約管理)主たる業務
企画・広報(プラン企画・情報発信)主たる業務
接客(館内案内・多言語対応)主たる業務
レストランサービス(配膳等)主たる業務。ただし専任は不可
客室清掃・備品補充付随業務として可。清掃のみの配置は不可
清掃専任・ベッドメイク専任×宿泊サービスの提供に該当しない
ホテル直営レストラン専任×宿泊分野は4業務に幅広く関与が条件。専任なら外食業分野
簡易宿所・民泊での勤務×旅館・ホテル営業の許可施設のみ対象
風営法対象施設での勤務×運用要領で除外
派遣での就労×宿泊分野は直接雇用のみ

特に注意したいのが、ホテル直営レストランへの配置です。宿泊施設のレストランは宿泊分野の業務範囲に含まれますが、在留期間を通じてレストランサービスだけに固定する配置は、宿泊サービスに幅広く従事するという要件を満たしません。フロントや企画・広報など、宿泊サービス全般に関与する配置計画が前提です。外食業分野の新規受け入れが停止している現在、「宿泊分野で採用してレストランに置けないか」という相談が増えていますが、レストラン専任では要件を満たしません。

もうひとつ、風営法2条6項4号に規定する施設に該当する場合は受け入れができず、特定技能外国人に風営法上の「接待」をさせることも認められません。

受け入れ企業側の要件|旅館業法の許可と社内体制

受け入れ機関(企業)には、対象施設の適合性だけでなく、雇用条件・法令遵守・支援体制など複数の要件が求められます。

企業側の要件は、施設の適法性、雇用の適正、支援の実効性の3つで捉えると整理しやすくなります。どれか一つでも弱いと、申請リスクが上がるだけでなく、入社後の定着にも影響します。

特に宿泊業は寮・食事・制服・控除など、実質賃金や生活の質に直結する要素が多い業界です。同等以上報酬の設計は給与額だけでなく、控除の透明性や説明力まで含めて整える必要があります。

また、支援体制は書類上の担当者設置だけでは不十分です。現場で起きる相談の一次受け、通訳手配、面談記録の残し方まで運用を具体化し、属人化しない体制にしておくことが重要です。

対象施設の要件(旅館・ホテル営業許可が必須/簡易宿所・下宿・民泊は対象外)

特定技能「宿泊分野」を受け入れられるのは、旅館業法第3条第1項の許可を受けて「旅館・ホテル営業」を営む施設に限られます。これは運用要領で明記されている要件で、営業形態によっては受け入れができません。

対象外となるのは、簡易宿所営業(カプセルホテル、ゲストハウス、ホステルなど)、下宿営業、住宅宿泊事業法に基づく民泊です。宿泊施設として営業していても、許可の種類がこれらに該当する場合は特定技能「宿泊」の人材を雇用できません。インターネット上の解説の中には簡易宿所も対象と記載しているものがありますが、誤りです。

また、風営法2条6項4号に規定する施設(店舗型性風俗特殊営業のうち宿泊を伴う形態)に該当する施設は対象外で、特定技能外国人に風営法上の「接待」をさせることもできません。

採用を検討する前に、自社の営業許可の種類を確認してください。ゲストハウスやホステルを旅館・ホテル営業の許可で運営しているケースもあり、許可の種類が判断基準になります。許可の種類が簡易宿所であれば、特定技能以外の在留資格(身分に基づく在留資格、留学生の資格外活動など)で採用を検討することになります。

雇用条件の要件(直接雇用・フルタイム・日本人と同等以上の報酬)

雇用形態は直接雇用に限られ、派遣は認められません。宿泊分野は労働者派遣の対象外です。

フルタイムであることも要件で、運用要領では「原則として労働日数が週5日以上、年間217日以上、かつ週の所定労働時間が30時間以上」と定義されています。パートタイムやアルバイトでの雇用はできません。

報酬は日本人が同じ業務に従事する場合と同等以上でなければなりません。同等性は雇用契約書だけでなく、実際の賃金台帳でも確認されます。新卒の日本人社員と同じ給与テーブルに乗せておけば説明がしやすく、更新時の審査でも問題になりにくくなります。

このほか、一時帰国を希望した場合に必要な有給休暇を取得させること、労働・社会保険関係法令を遵守していることなども雇用契約の基準に含まれます。

受入れ機関として満たすべき基準(欠格事由・支援体制・労働法令遵守)

受け入れ企業(特定技能所属機関)には、雇用契約の適正さに加えて、機関そのものが満たすべき基準があります。自社が該当するかを確認できるよう整理します。

表③ 受け入れ企業の自己チェック
区分チェック項目
施設要件旅館業法の「旅館・ホテル営業」の許可を受けている(簡易宿所・下宿・民泊は対象外)
風営法の許可・届出の対象施設ではない
宿泊分野特定技能協議会に加入済み(在留資格申請の前に完了)
雇用条件直接雇用・フルタイム(週5日以上・年217日以上・週30時間以上)
報酬が同じ業務の日本人と同等以上(賃金台帳で説明できる)
一時帰国のための有給休暇を取得できる体制
機関の基準過去5年以内に出入国・労働法令の違反がない
過去1年以内に同種業務の労働者を非自発的に離職させていない
労働・社会保険・租税の法令を遵守している
支援体制自社支援:支援責任者・担当者を選任し、過去2年以内の中長期在留者の受入れ実績等の基準を満たす
委託:登録支援機関に支援の全部を委託(2027年4月以降は委託先が登録支援機関に限定)

欠格事由としては、過去5年以内の出入国・労働法令違反、過去1年以内に同種業務の労働者を非自発的に離職させていないこと、行方不明者を発生させていないことなどが定められています。特定技能の受け入れをきっかけに日本人従業員を解雇するような運用は、それ自体が受け入れ資格を失う原因になります。

支援体制については、自社で支援を行う場合、過去2年以内に中長期在留者の受け入れ実績があることや、支援責任者・支援担当者を選任していることなどの基準があります。この基準を満たせない場合は、登録支援機関に支援の全部を委託することになります。

採用できる外国人材の要件|試験・日本語・技能実習からの移行

候補者側の要件は「技能」「日本語」「経歴ルート」で整理すると判断しやすくなります。採用担当として確認すべき証憑もセットで押さえます。

採用担当が候補者を判断する際は、試験合格の有無だけでなく、現場で通用する技能と日本語のバランスを見る必要があります。宿泊は接客品質がKPIに直結するため、資格要件を満たしていても、業務理解や対人対応が弱いと配属後に負荷が集中します。

もう一つの重要点は、どのルートで特定技能になるのかです。海外在住から呼ぶのか、国内在住者の転職なのか、技能実習からの移行なのかで、必要書類、スケジュール、リスクが変わります。

証憑の確認は、採用業務の一部ではなく、入管手続きの前工程です。合格証明書や在留カード、職歴資料の管理を最初からプロジェクト管理として運用すると、申請段階での手戻りを減らせます。

宿泊分野特定技能1号評価試験(実施団体・形式・合格水準の読み方)

特定技能1号「宿泊」の技能要件は、宿泊分野特定技能1号評価試験(宿泊業技能測定試験)の合格です。実施団体は一般社団法人宿泊業技能試験センターで、試験の運営はプロメトリックのCBT方式で行われています。学科試験と実技試験で構成され、国内のほか海外でも実施されています。

採用側として押さえておきたいのは、この試験が「受験する側」の問題ではなく、「候補者の水準を測る目安」として使えることです。試験はフロント業務、企画・広報、接客、レストランサービスの基礎知識を問うもので、合格していれば宿泊業務の基本用語や接客の流れを理解している水準と見なせます。

一方で、試験合格は日本語での高度な接客ができることを意味しません。敬語を使った電話応対や、クレーム対応、緊急時の誘導などは、試験の水準を超える場面です。合格を採用の最低ラインとしつつ、想定する配置業務に応じて追加の確認を行うのが実務的です。

海外で試験に合格した候補者を直接採用することも可能です。この場合は在留資格認定証明書交付申請を行い、入国後に就労を開始します。試験の実施国・日程は宿泊業技能試験センターのサイトで確認できます。

日本語要件(JFT-Basic/JLPT N4以上)

日本語要件は、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)または日本語能力試験(JLPT)N4以上の合格です。技能実習2号を良好に修了した人はこの要件も免除されます。

N4は「基本的な日本語を理解することができる」水準で、日常会話はある程度できますが、宿泊業の接客で求められる敬語や複雑な説明には対応しきれないことがあります。予約変更の聞き取り、アレルギーや禁止事項の説明、緊急時の避難誘導など、事故やトラブルに直結する場面で通じるかは、採用時に実際の場面を想定して確認してください。

インバウンド対応を期待する場合は、日本語に加えて英語や母語での接客ができるかも確認します。外国人スタッフの強みが最も発揮されるのは多言語対応の場面です。

技能実習2号修了者の試験免除ルート

技能実習「宿泊」職種で2号を良好に修了した人は、技能試験と日本語試験の両方が免除され、特定技能1号「宿泊」に移行できます。すでに国内の宿泊施設で実務経験を積んでいるため、即戦力として期待できる層です。

自社で技能実習生を受け入れていた場合は、修了後にそのまま特定技能で雇用する流れが最もスムーズです。他社で実習を修了した人を採用する場合は、実習の修了を証明する書類(技能検定3級または技能実習評価試験の合格証、実習実施者の評価調書など)を確認します。

なお、技能実習から特定技能への変更申請は、就労開始予定日の2か月以上前に行うことが求められています。実習の修了時期から逆算して手続きを進めてください。

候補者の受験・合格を確認する方法(合格証明書)

候補者が試験に合格しているかは、本人の申告ではなく合格証明書で確認します。宿泊業技能試験センターは、合格者に対して「宿泊業技能測定試験に係る合格証明書」を発行しており、在留資格申請の添付書類にもなります。

技能実習2号修了による免除の場合は、技能検定または技能実習評価試験の合格証と、実習実施者が作成する評価調書で確認します。

書類の真正性に不安がある場合は、発行元への照会や、登録支援機関・行政書士による確認を依頼します。採用の入り口で確認しておけば、在留資格申請の段階での手戻りを防げます。

受け入れまでの流れ|募集から就労開始までのステップ

特定技能の受け入れは、募集・選考だけでなく、支援計画、協議会加入、在留資格申請、入国後支援までが一連のプロジェクトになります。
特定技能「宿泊」受け入れまでの流れ 協議会加入は在留資格申請の「前」に完了させる ① 募集・選考 合格証明書の確認 実習修了の確認 担当:自社/媒体・紹介 ② 契約・支援計画 雇用契約の締結 支援計画書の作成 担当:自社/登録支援機関 ③ 協議会加入 申請前に必須 e-Gov電子申請 窓口:国交省(観光庁) ④ 在留資格申請 認定証明書交付 or 変更 標準 1〜3か月 担当:自社/行政書士 ⑤ 入国・就労開始 事前ガイダンス 住居・生活オリエン 担当:自社/登録支援機関 就労開始後の継続義務 四半期ごと 定期面談(本人・監督者) 支援責任者または担当者が実施 オンライン可・記録を保存 年1回(4/1〜5/31) 定期届出(入管庁) 前年度の受入れ・活動・支援実施状況 ※2025年4月から四半期→年1回に変更 随時(14日以内) 随時届出(入管庁) 契約変更・終了、支援計画変更 委託契約の変更、受入れ困難 つまずきやすいポイント ・協議会加入を申請と並行で進めてしまう → 申請前に完了が必須 ・退職・条件変更が人事に届かず随時届出の14日を過ぎる → 現場からの連絡ルールを決める ・簡易宿所の許可で申請してしまう → 旅館・ホテル営業の許可が前提
特定技能「宿泊」受け入れまでの流れと就労開始後の継続義務

特定技能「宿泊」の採用は、採用活動と行政手続きが同時進行する点が特徴です。現場の欠員を埋めるだけの発想で進めると、書類準備や支援設計が追いつかず、就労開始が遅れやすくなります。

成功のコツは、最短就労開始日から逆算して、選考、契約、支援計画、申請、住居準備の担当者と期限を決めることです。採用担当、人事労務、現場責任者、登録支援機関の役割分担を早期に固定します。

また、入社後のオンボーディングまでを採用プロセスに含めて設計します。入社初日に何を教え、誰がOJTを持ち、最初の1か月でどの業務まで任せるかを決めておくと、早期離職を防ぎやすくなります。

募集チャネルの選び方(人材紹介・無料求人媒体・技能実習からの移行・海外直接)

特定技能「宿泊」の候補者を募集するルートは大きく4つです。1つ目は人材紹介会社です。海外の試験合格者や国内の候補者を要件に合わせて紹介してもらえますが、成功報酬として定額型で20〜60万円程度の手数料が発生するのが一般的です。

2つ目は外国人向けの求人媒体です。国内在住の試験合格者や技能実習修了者、他社からの転職希望者が登録しており、自社で直接募集できます。ArigatoJobsのように掲載費・成功報酬・初期費用がかからない無料媒体もあり、特定技能(宿泊)の求人も無料で掲載できます。紹介手数料をかけずに母集団を作りたい施設は、まずここから始めるのが効率的です。

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3つ目は技能実習からの移行です。自社または他社で技能実習「宿泊」を修了した人を特定技能で雇用するルートで、試験免除のうえ実務経験もあるため、定着しやすいのが特徴です。

4つ目は海外からの直接採用です。海外で試験に合格した候補者を在留資格認定証明書交付申請で呼び寄せます。渡航費や住居の初期費用に加え、入国後の生活支援の負荷が大きくなるため、初めての受け入れでは国内在住者から始めることをおすすめします。

選考・雇用契約・1号特定技能外国人支援計画の作成

選考では、技能と日本語に加えて、宿泊業特有のシフト適性と接遇への向き不向きを見ます。具体的には、早番遅番への耐性、立ち仕事、クレーム時の報連相、チーム作業の経験を確認すると、現場配属後のトラブルが減ります。

雇用契約書・労働条件通知書は、給与内訳、手当、控除、所定労働時間、休日、残業の扱いを明確にします。後で説明が難しくなるのは、寮費や食事代、定額残業の表現などなので、初期に雛形を整備しておくと効率的です。

支援計画は、義務的支援を実施できる体制と具体的手順を落とし込みます。誰が、いつ、どの言語で、何をするのかを決め、現場任せにしないことが実行可能な計画にするポイントです。

協議会加入と在留資格の申請(認定証明書交付/変更)

宿泊分野では、在留資格の申請前に「宿泊分野特定技能協議会」(観光庁)への加入が必須です。在留資格認定証明書交付申請または在留資格変更許可申請の前に、加入手続きを完了していなければなりません。申請と並行して加入すればよい、という運用ではないので注意してください。入会通知書の発行は申請から1か月程度で、申請が集中する時期はさらに時間がかかると観光庁が案内しているため、就労開始日から逆算して早めに申請してください。

加入申請はe-Gov電子申請で行い、受入れ施設の情報や旅館業法の許可証の写しなどを提出します。加入後は協議会の会員名簿に掲載されます。

協議会加入が完了したら、在留資格の申請に進みます。海外にいる候補者は在留資格認定証明書交付申請、国内にいる候補者(留学生や技能実習修了者など)は在留資格変更許可申請です。申請書類には、雇用契約書、支援計画書、協議会の加入を証する書類、旅館業法の許可証の写し、候補者の試験合格証などが含まれます。

申請から許可までの標準処理期間は1〜3か月程度ですが、時期や書類の状況で変動します。就労開始希望日から逆算して、協議会加入を含めた全体の日程を組んでください。

入国・就労開始までの準備(住居確保・生活オリエンテーション・事前ガイダンス)

住居確保は、採用実務の中でもトラブルが出やすい領域です。契約主体を会社にするか本人にするか、初期費用をどう扱うか、寮のルールをどう周知するかを事前に決め、説明資料として渡せる形にします。

入国後は空港送迎、役所手続き、銀行口座、携帯契約など生活立ち上げ支援が続きます。ここを丁寧にやると定着率が上がり、逆に放置すると不安が大きくなり離職に繋がりやすいです。

生活オリエンテーションと事前ガイダンスは、実施項目を標準化し、配布資料と実施記録を残します。就労初日は、職場案内、緊急時対応、禁止事項、相談窓口など安全とコンプライアンスに直結する内容を優先し、業務教育は段階的に行うと定着しやすくなります。

特定技能「宿泊」の採用にかかる費用の全体像

採用コストは「募集〜入国・入社」「在留資格手続き」「支援運用」の3ブロックで把握すると見積もりが精緻になります。

特定技能「宿泊」の費用は、初期費用だけを見て判断するとブレやすく、1年目の総コストで比較するのが実務的です。採用チャネルにより、支払う先とタイミングが変わるため、経理処理と予算確保まで含めた設計が必要です。

費用設計で重要なのは、本人負担にできないものを正しく理解し、無理な転嫁をしないことです。短期的にコストを抑えても、信頼低下や離職、指導リスクで結局高くつくことがあります。

見積もりは、変動要因を明示して複数パターンで作ると意思決定が早くなります。例えば、寮ありなし、海外呼び寄せか国内採用か、支援を自社で持つか委託するかで、総額が変わります。

費用項目の一覧(募集費・紹介手数料・申請費用・支援委託費・渡航/住居)

特定技能「宿泊」の採用にかかる費用は、募集方法と支援体制の選び方で大きく変わります。主な項目と目安を整理します。

表④ 費用項目と相場(1人あたり・目安)
項目発生タイミング目安本人負担
募集費採用前無料媒体:0円
人材紹介:定額型20〜60万円程度
不可
在留資格申請採用前行政書士報酬 10〜15万円程度
(自社申請なら手数料のみ)
不可(義務的支援に関わる費用)
試験受験料採用前数千円〜1万円台本人負担が一般的
協議会申請前費用は観光庁の協議会ページで要確認
登録支援機関委託費就労開始後・毎月月額2〜3万円程度/人不可
渡航費入国時数万〜10万円程度法令上の負担義務なし(企業負担が一般的)
住居の初期費用入国時敷金・礼金・家具家電 10〜20万円程度家賃実費は適正額なら可
義務的支援の実費継続事前ガイダンス・オリエンテーション・同行等不可

1人あたりの1年目総額をイメージすると、紹介会社を使い登録支援機関に委託した場合は100万円前後、無料の求人媒体で募集し登録支援機関に委託した場合は60万円前後が目安になります。差額は紹介手数料の分です。

1人あたり1年目の総額イメージ(目安) 紹介手数料の有無で約40万円の差。継続費用は登録支援機関への委託費 030万60万90万120万 渡航・住居初期 15万 支援委託 30万(2.5万×12) 申請費用 12万 紹介手数料 40万 約97万円 A:人材紹介+登録支援機関 渡航・住居初期 15万 支援委託 30万(2.5万×12) 申請費用 12万 募集費 0円 約57万円 B:無料求人媒体+登録支援機関 ※目安。紹介手数料は定額型20〜60万円の中央値、申請費用は行政書士報酬、支援委託費は月額2〜3万円の中央値で試算。義務的支援の費用は本人に負担させられません。
1人あたり1年目の総額イメージ(人材紹介と無料求人媒体の比較)

継続的に発生するのは登録支援機関への委託費で、月額2〜3万円程度が相場です。自社で支援体制を組める場合はこの費用がかかりませんが、支援責任者・担当者の選任や記録管理の負荷を人件費として見積もる必要があります。2027年4月以降は支援の外部委託先が登録支援機関に限定されるため、行政書士等への部分委託を想定している場合は注意が必要です。

なお、金額は依頼先や地域により幅があります。紹介会社や登録支援機関から見積もりを取る際は、初期費用と月額費用、追加で発生しうるオプション費を分けて確認してください。

本人負担にできない費用(義務的支援費用)と、できる費用

1号特定技能外国人に対する義務的支援に要する費用は、受け入れ企業が負担しなければなりません。事前ガイダンス、生活オリエンテーション、住居確保の支援、相談対応などにかかる費用を、直接・間接を問わず本人に負担させることは認められていません。登録支援機関への委託費も同様です。

一方、本人負担が認められるものもあります。家賃そのものや光熱費、食費などの実費は、適正な金額であれば本人負担にできます。ただし社宅を提供する場合、周辺相場を大きく超える家賃を給与から控除するような運用は、報酬の同等性の観点から問題になります。

渡航費については、法令上の負担義務はありませんが、本人が負担する場合は在留資格申請時にその旨を説明することになります。海外から直接採用する場合は、渡航費と住居の初期費用を企業側で負担することを前提に見積もっておくのが現実的です。

費用の内訳を整理すると、募集費は無料媒体を使えば0円にでき、手続き費用は自社対応の範囲で圧縮できます。削れないのは義務的支援の費用と同等報酬です。ここを削ろうとする設計は、制度上も採用上も失敗します。

受け入れ後の義務|支援計画・登録支援機関・協議会・定期届出

就労開始後は、支援の実施・記録、協議会との連携、入管への各種届出など、継続的なコンプライアンス運用が求められます。

受け入れ後の義務は、やるべきことが多い一方で、仕組み化すればルーチン化できます。属人的に回すと、担当者の異動や繁忙期で抜け漏れが起きやすいため、記録とスケジュール管理が鍵です。

特に重要なのは、支援を実施した事実を示せる状態にすることです。実施していても記録がなければ説明が難しくなるため、面談記録、実施チェック、連絡履歴を一定の形式で残します。

また、協議会と入管への届出は、雇用条件変更や退職など突発的な事象で発生します。現場で起きた変化が人事に伝わらないと遅延しやすいので、現場からの連絡ルールを明確にしておきます。

1号特定技能外国人支援計画(義務的支援10項目)と登録支援機関への委託

1号の受け入れには、1号特定技能外国人支援計画の作成と実施が義務づけられています。支援計画に含めるべき義務的支援は、事前ガイダンス、出入国する際の送迎、住居確保・生活に必要な契約の支援、生活オリエンテーション、公的手続等への同行、日本語学習の機会の提供、相談・苦情への対応、日本人との交流促進、転職支援(受け入れ側の都合による契約解除の場合)、定期的な面談・行政機関への通報の10項目です。

これらを自社で実施するには、支援責任者と支援担当者の選任、外国人が理解できる言語での対応体制、記録の保存などの基準を満たす必要があります。基準を満たせない場合は、登録支援機関に支援の全部を委託します。委託しても受け入れ企業の責任がなくなるわけではなく、支援の実施状況を把握して届出を行う義務は残ります。

2027年4月1日以降は、改正入管法により、支援の外部委託先が登録支援機関に限定されます。現在、行政書士など登録支援機関以外に一部の支援を委託している場合は、体制の見直しが必要になります。

宿泊分野特定技能協議会の加入と協力義務

宿泊分野の受け入れ企業は「宿泊分野特定技能協議会」への加入が必須です。協議会は国土交通省(観光庁)が設置し、制度の適正な運用と受け入れ企業間の情報共有を目的としています。

加入は在留資格申請の前に完了している必要があります。観光庁のページ上は「宿泊分野特定技能・育成就労協議会」として案内されていますが、育成就労側の協議会は入会申請の受付開始前で、特定技能の受け入れで加入するのは宿泊分野特定技能協議会です。加入後は、協議会が行う調査や指導への協力義務があります。受け入れ状況の報告を求められた場合や、制度の運用に関する調査があった場合は対応が必要です。

協議会の会員名簿は公開されており、自社の加入状況や、他社の受け入れ実績を確認できます。候補者や紹介会社から「協議会に加入していますか」と聞かれることもあるため、加入証明を提示できるようにしておくとスムーズです。

定期届出(年1回)・随時届出・定期面談(四半期)のスケジュール

受け入れ企業が入管庁に行う届出は、定期届出と随時届出の2種類です。

定期届出は、2025年4月1日の省令改正により四半期ごとから年1回に変更されました。毎年4月1日から翌年3月31日までの受け入れ状況・活動状況・支援実施状況を、翌年度の4月1日から5月31日までの間に「受入れ・活動・支援実施状況に係る届出書」で届け出ます。以前の解説記事には四半期ごとと書かれているものが多く残っていますが、現行制度では年1回です。

随時届出は、雇用契約の変更・終了、支援計画の変更、登録支援機関との委託契約の変更・終了、受け入れが困難になった場合などに、事由が発生してから14日以内に行います。退職や労働条件の変更は現場で起きるため、人事に情報が届く経路を整えておかないと期限を逃します。

一方、支援の一環として行う定期面談は従来どおり四半期に1回以上です。支援責任者または支援担当者が本人および監督者と面談し、記録を残します。オンラインでの実施も認められています。届出が年1回になったからといって、面談の頻度が減ったわけではない点に注意してください。

受け入れ後の時系列チェックリスト(いつ・誰が・何を)

受け入れ前から受け入れ後まで、いつ・誰が・何をするかを一覧にまとめます。監査や指導が入った場合に確認されるのもこの項目です。

表⑤ 受け入れ後の時系列チェックリスト(いつ・誰が・何を)
時期担当やること根拠・期限
申請前人事協議会加入、雇用契約締結、支援計画作成加入は申請前に完了
入国・就労開始前支援担当/登録支援機関事前ガイダンス、住居確保、出迎え義務的支援
就労開始直後支援担当/登録支援機関生活オリエンテーション、公的手続きへの同行、住民登録・口座開設支援義務的支援
四半期ごと支援責任者・担当者定期面談(本人・監督者)と記録保存年4回以上・オンライン可
毎年4/1〜5/31人事定期届出(受入れ・活動・支援実施状況に係る届出書)年1回(2025年4月〜)
随時人事契約変更・終了、支援計画変更、委託契約変更、受入れ困難の届出事由発生から14日以内
在留期限の前人事/本人在留期間更新許可申請期限の3か月前から申請可
通算5年が近づく前人事/本人2号評価試験の受験支援、2号への変更申請1号は通算5年上限
離職時人事随時届出、(非自発的離職なら)転職支援14日以内

運用のコツは、担当を分けたうえで期限を台帳で管理することです。現場は勤務実態と業務内容、人事は契約と届出、支援担当(または登録支援機関)は生活支援と面談記録というように責任範囲を分け、随時届出の起点になる出来事が人事に届く連絡ルールを決めておきます。

採用前に確認したい注意点とよくあるつまずき

制度要件は満たしていても、運用でのズレが不許可・指導や早期離職につながります。事前に典型的な落とし穴を把握して対策します。

つまずきの多くは、制度理解不足ではなく、現場運用の設計不足から起きます。採用は成功したのに、配属後に業務がずれていた、支援の記録が残っていなかった、給与説明が不十分だったなど、後から修正しにくい問題が典型です。

宿泊業は繁閑差が大きく、急な業務変更や残業が発生しやすい業界です。そのため、平時のルールだけでなく、繁忙期の例外運用をあらかじめ決め、コンプライアンスと現場実態を両立させる必要があります。

さらに、外国人材の定着は、支援担当だけでは完結しません。日本人スタッフ側の受け入れ準備や教育が不足すると、現場のコミュニケーションコストが上がり、本人も孤立しやすくなります。

不許可・指導対象になりやすいケース

不許可や指導に繋がりやすいのは、業務内容の逸脱、書類不備、同等以上報酬の説明不足、支援体制の不十分さ、過去の法令違反などです。特に業務逸脱は、現場の善意の応援配置が積み重なって起こりやすいです。

回避策は、申請前の事前点検と証憑整備です。求人票、職務記述、シフト上の役割、賃金テーブル、控除根拠、支援計画と実施体制を、第三者が見ても説明できる形で揃えます。

また、書類は揃っていても整合が取れていないと弱点になります。契約書と支援計画、実態運用が一本のストーリーで繋がっているかを、採用前に通しで確認することが重要です。

シフト・人数計画と在留期間(1号は通算5年)の考え方

1号は通算5年が上限のため、採用した時点から残り時間が始まります。宿泊業の繁閑差に合わせて人数を埋めるだけでは、育成が追いつく前に期限が近づきます。2号への移行を前提とした育成計画を、採用時から組んでおくことが重要です。

もうひとつ、分野全体の受け入れ枠にも目を向けてください。宿泊分野の運用方針(PDF)のとおり、受入れ見込み数は2024年度から2028年度の5年間で最大23,000人で、これが受け入れの上限として運用されます。2025年12月末時点の在留者数は1,968人(入管庁速報値)で、上限に対して1割弱と、まだ余裕があるように見えます。

ただし、宿泊分野は前期比55.6%増と、主要分野の中で在留者数の伸びが最も高い分野です。外食業分野では受け入れ枠の上限到達により2026年4月13日から新規受け入れが原則停止されており、宿泊分野についても、増加ペースが続けば2027年ごろに上限へ到達する可能性が指摘されています。

採用側にできる備えは、必要な人数を先送りせず、枠に余裕があるうちに受け入れを進めることと、今いる1号人材を2号へ移行させて枠の影響を受けない形にすることです。分野別の在留者数は入管庁が四半期ごとに公表しているので、採用計画を立てる際に確認してください。

▶ 外食業の停止後に飲食店で使える在留資格の整理は、関連記事飲食店の外国人スタッフ採用 完全ガイドで解説しています。

定着のために受入れ側が整えること

定着には、入社直後のオンボーディングが最も効きます。教育担当を決め、OJT手順、接客用語集、館内ルール、緊急対応をパッケージ化すると、立ち上がりが早くなります。

評価・昇給・キャリアパスを見える化することも重要です。宿泊業では職位や担当領域が曖昧だと、頑張りが報われない感覚が生まれやすいので、できるようになった業務に応じて評価が上がる設計にします。

生活面では、多言語相談窓口、ハラスメント対策、寮ルールの透明化が効きます。同時に、日本人スタッフ側の受け入れ教育を行い、指示の出し方や文化差の前提を共有すると、職場全体のストレスが減り離職が下がります。

最後に、特定技能「宿泊」の採用担当者から特に多い質問を、要件・試験・業務範囲の観点で簡潔に整理します。社内説明や稟議のたたき台としてお使いください。

よくある質問(FAQ)

Q
特定技能「宿泊」の受け入れ要件は?
受け入れ企業側の主な要件は、旅館業法の「旅館・ホテル営業」の許可を受けていること(簡易宿所・下宿・民泊は対象外)、宿泊分野特定技能協議会に在留資格申請前に加入していること、直接雇用・フルタイムで日本人と同等以上の報酬を支払うこと、1号特定技能外国人支援計画を作成・実施する体制があること(または登録支援機関に委託すること)です。外国人側の要件は、宿泊分野特定技能1号評価試験と日本語試験(JFT-BasicまたはJLPT N4以上)の合格、または技能実習「宿泊」2号の良好な修了です。
Q
宿泊業の特定技能試験とは?
宿泊分野特定技能1号評価試験(宿泊業技能測定試験)は、一般社団法人宿泊業技能試験センターが実施する試験で、フロント、企画・広報、接客、レストランサービスなど宿泊業務の基礎知識と技能を学科・実技で評価します。CBT方式で国内外で実施されており、合格者には合格証明書が発行されます。採用側は、この合格証明書で候補者の技能要件を確認します。技能実習「宿泊」2号を良好に修了した人は試験が免除されます。
Q
特定技能「宿泊」の業務区分は?
特定技能「宿泊」に細かい業務区分はなく、「宿泊施設におけるフロント、企画・広報、接客及びレストランサービス等の宿泊サービスの提供に係る業務」が対象です。これらに加えて、同じ施設の日本人従業員が通常行う関連業務(客室清掃、備品補充など)に付随的に従事することもできます。ただし清掃やレストラン業務のみに専従させることはできません。宿泊サービスの提供に幅広く関与していることが前提です。
Q
特定技能「宿泊」でできる仕事は?
フロントでのチェックイン・チェックアウト対応、予約管理、館内案内、企画・広報(宿泊プランの企画、SNSやウェブでの情報発信)、接客全般、レストランでの配膳やサービスなどです。多言語での接客やインバウンド対応も業務に含まれます。できないのは、清掃専任やレストラン専任といった限定的な配置、風営法の対象施設での勤務、簡易宿所・民泊での勤務です。宿泊分野は直接雇用のみで、派遣も認められません。

まとめ|要件・手続き・費用を押さえて、法令適合した受け入れ体制を

この記事のまとめ

特定技能「宿泊」の受け入れは、要件・手続き・費用・受け入れ後の義務が分散していて全体像をつかみにくい制度ですが、順番に押さえれば難しくありません。

まず自社の営業許可が旅館・ホテル営業であることを確認し、協議会に加入する。候補者の試験合格または技能実習修了を証明書で確認し、雇用契約と支援計画を整えて在留資格を申請する。就労開始後は四半期ごとの面談と年1回の定期届出を回し、随時届出の起点を見逃さない。この流れをチェックリストにしておけば、監査や指導が入っても対応できます。

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