小売の接客販売で、いま外国人採用が必要になっている理由

数字から入ります。外国人を雇用する事業所数では、卸売業・小売業が業種別で最も多くなっています。

卸売業・小売業で働く外国人労働者は340,687人(令和7年10月末、前年比14.2%増)で、製造業、サービス業(他に分類されないもの)に次ぐ3位です。外国人を雇用する事業所数では卸売業・小売業が最も多く、全体の19.0%を占めます(厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況(令和7年10月末時点))。

表① 小売・インバウンドの基礎数値
指標数値基準日出典
卸売業・小売業の外国人労働者数340,687人(前年比+14.2%)令和7年10月末厚生労働省 外国人雇用状況の届出状況
同・在留資格別の内訳技術・人文知識・国際業務 80,732人/資格外活動(留学)76,085人/身分に基づく在留資格 81,831人/特定活動 9,963人(46号以外を含む)令和7年10月末同 表一覧 別表6
消費税免税店数64,127店(前回比372店減)2026年3月31日観光庁
訪日外客数(2025年)42,683,301人(前年比+15.8%、過去最高)2025年1〜12月 確定値JNTO(2026年9月16日公表)

内訳を見ると、小売の現場を支えているのは留学生のアルバイトです。卸売業・小売業で働く留学生は76,085人で、留学生アルバイト全体(352,791人)の21.6%、5人に1人が小売で働いています。一方、同じ卸売業・小売業で働く「特定活動」の外国人は9,963人です(厚生労働省 表一覧 別表6)。この数にはワーキング・ホリデーなど46号以外の特定活動も含まれ、46号だけの人数は公表されていません。アルバイトとして小売の現場に立っている留学生の数に比べると、卒業後も特定活動で小売に残っている人はかなり少ない、というのが統計から読み取れる範囲です。

免税店は全国64,127店(2026年3月31日、観光庁)、訪日外客数は2025年に42,683,301人(確定値、JNTO)で、前年比15.8%増、年間の過去最高を更新しました(JNTO 2026年1月21日発表)。多言語で接客できる人材の需要は、免税店・ドラッグストア・百貨店・家電量販店で続いています。

小売店で使える在留資格と「店頭販売の可否」

制度の説明より先に、結論の表を置きます。小売店の採用担当者が最初に知りたいのは「どの在留資格なら店頭に立てるのか」だからです。

店頭販売ができる在留資格・できない在留資格

表② 小売店で使える在留資格と店頭販売の可否
在留資格店頭販売条件向く雇用形態
特定活動46号(本邦大学等卒業者)可(通訳を兼ねた接客販売)日本の大学等を卒業し、日本語能力試験N1またはBJT480点以上(大学・大学院で日本語を専攻して卒業した人も可)。常勤。陳列・清掃のみは不可正社員
技術・人文知識・国際業務原則不可通訳翻訳・商品企画・本社業務なら可。研修期間の店舗業務は許可事例あり正社員(本社職・企画職)
留学(資格外活動許可)可(アルバイト)週28時間以内、教育機関の長期休業期間は1日8時間以内アルバイト
家族滞在(資格外活動許可)可(アルバイト)週28時間以内。「就労制限なし」ではないアルバイト
永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者可(制限なし)就労活動に制限がない在留資格正社員・アルバイトとも可
特定技能不可小売・販売は特定技能の対象分野に含まれない—

特定技能は小売・販売を対象にしていない

特定技能の対象分野は介護、ビルクリーニング、外食業、宿泊など、入管庁が分野ごとに定めたものに限られ、小売業・販売職は含まれていません(出入国在留管理庁「特定技能 分野別情報」)。厚労省の統計では卸売業・小売業の事業所で働く特定技能の外国人が21,079人いますが、どの分野で受け入れた人かの内訳は公表されていません。いずれにしても、小売業の販売員として特定技能で外国人を受け入れることはできないため、「特定技能で販売員を」という相談は入口から成り立ちません。

特定活動46号とは(本邦大学等卒業者)

要件は学歴・日本語・業務内容の3つが揃って初めて満たされます。N1さえあれば申請できる、という理解は誤りです。

対象者:日本の大学等を卒業し、N1またはBJT480点以上

特定活動46号は、日本の大学などを卒業した留学生が、日本語を使う幅広い業務に就けるようにするために2019年に設けられた在留資格です。対象者は、入管庁のガイドラインで「本邦の大学を卒業又は大学院を修了した者」、短期大学・高等専門学校を卒業して学士の学位を得た者、そして認定を受けた専修学校の専門課程を修了して「高度専門士」の称号を得た者と定められています。日本語能力は「日本語能力試験N1又はBJTビジネス日本語能力テストで480点以上を有する方が対象です」(出入国在留管理庁「留学生の就職支援に係る『特定活動』(本邦大学等卒業者)についてのガイドライン」令和8年4月改定)。

「N1があれば取れる」わけではない(学歴と業務内容の要件)

学歴では、2年制の専門学校を修了した「専門士」は対象外です。対象になるのは、文部科学大臣の認定を受けた専修学校の専門課程を修了し「高度専門士」を得た人に限られます。

業務内容では、ガイドラインは「単に雇用主等からの作業指示を理解し、自らの作業を行うだけの受動的な業務では足りず、いわゆる『翻訳・通訳』の要素のある業務や、自ら第三者へ働きかける際に必要となる日本語能力が求められ、他者との双方向のコミュニケーションを要する業務」であることを求めています。さらに、「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の対象となる学術上の素養等を背景とする一定水準以上の業務が含まれていること又は今後当該業務に従事することが見込まれること」も要件です。接客販売だけでなく、仕入れや商品企画など、大学で学んだ素養を使う業務を職務に組み込む必要があります。

雇用形態は常勤に限られます。「フルタイムの職員としての稼働に限られ、短時間のパートタイムやアルバイトは対象になりません」と明記されています。報酬は日本人が同じ業務に従事する場合と同等額以上であることが必要です。

表③ 特定活動46号の要件チェックリスト
要件候補者側で確認すること会社側で用意すること
学歴日本の大学卒・大学院修了、短大・高専卒で学士取得、または認定専修学校専門課程修了の高度専門士卒業証明書・学位記の写しの受領
日本語能力日本語能力試験N1、またはBJT480点以上の成績証明書。大学・大学院で日本語を専攻して卒業した場合は、学部・学科が記載された卒業証明書—
業務内容—通訳を兼ねた接客販売に加え、仕入れ・商品企画など素養を使う業務を職務に含める。雇用理由書に明記
雇用形態—常勤(フルタイム)の雇用契約
報酬—同じ業務の日本人と同等額以上
除外業務—業務独占資格が必要な業務、風俗関係業務に従事させない

在留期間(初回は1年)と家族の帯同

在留期間は5年・3年・1年・6月・3月のいずれかですが、ガイドラインは「原則として、『留学』の在留資格からの変更許可時及び初回の在留期間更新許可時に決定される在留期間は、『1年』となります」としています。採用初年度と2年目は、毎年更新が来る前提でスケジュールを組んでください。

扶養する配偶者と子は、「特定活動」(本邦大学等卒業者の配偶者等)の在留資格で日常的な活動が認められます。家族を呼べない在留資格ではありません。

特定活動46号で任せられる業務・任せられない業務

入管庁のガイドラインは、46号で認められる業務の例として小売店を名指ししています。職務設計はこの例示を基準に組みます。

小売店の例示:仕入れ・商品企画・通訳を兼ねた接客販売

小売店において、仕入れ、商品企画や、通訳を兼ねた接客販売業務を行うもの(日本人に対する接客販売業務を行うことも可能です。)。※ 商品の陳列や店舗の清掃にのみ従事することは認められません。

括弧書きの「日本人に対する接客販売業務を行うことも可能」は、シフトを組む側にとって重要です。インバウンド客の対応専任にしなくても、日本人客の接客に立たせて問題ありません。あわせて、飲食店についても「飲食店に採用され、店舗管理業務や通訳を兼ねた接客業務を行うもの」が例示されています。

▶ 飲食店の採用は 飲食店の外国人スタッフ採用 完全ガイドを参照してください。

商品の陳列や清掃「のみ」は認められない

同じ例示の注記にあるとおり、陳列や清掃だけを担当させる職務設計では許可されません。ポイントは「のみ」です。接客販売の合間に陳列や清掃をすること自体は問題なく、職務の中心が通訳を兼ねた接客販売や仕入れ・商品企画にあればよい、という整理です。求人票と雇用理由書で、職務の中心が何かを明確にしてください。

免税店・ドラッグストア・百貨店での配置例

ガイドラインの例示に沿った職務の組み方を示します。いずれも「通訳を兼ねた接客販売」を中心に置き、素養を使う業務を加えた構成例で、個別の許可を保証するものではありません。

免税店では、多言語での接客販売と免税手続きの案内に、訪日客向け商品の仕入れ提案や売場企画を組み合わせます。ドラッグストアでは、医薬品・化粧品の多言語での説明販売に、インバウンド向け商品の選定やSNSでの情報発信を加えます。百貨店や家電量販店では、外国人客の接客に、海外ブランドとの連絡や多言語の販促物作成を組み込みます。

特定活動46号で小売店のスタッフに任せられる業務 通訳を兼ねた 接客販売 日本人客への接客販売も可 仕入れ 商品企画 翻訳・通訳 本部・取引先との調整 商品の陳列のみ・店舗の清掃のみ これだけを担当させることは認められない
図① 特定活動46号で任せられる業務の構造

技術・人文知識・国際業務との違いと使い分け

「技人国で採用すればいいのでは」と考える担当者も多いのですが、小売店の店頭販売は技人国では原則として認められません。入管庁が公表している許可・不許可の事例集に、小売店のケースがそのまま載っています。

小売店の接客販売が技人国で不許可になった事例

事例集のうち、日本の専門学校を卒業し専門士の称号を得た留学生の事例(3-1 不許可事例(8))です。

人材派遣会社に雇用され、派遣先において、翻訳・通訳業務に従事するとして申請があったが、労働者派遣契約書の職務内容には、「店舗スタッフ」として記載されており、派遣先に業務内容を確認したところ、派遣先は小売店であり、接客販売に従事してもらうとの説明がなされ、当該業務が「技術・人文知識・国際業務」の在留資格のいずれにも当たらないため不許可となったもの

名目を「翻訳・通訳」にしても、実態が店頭の接客販売なら技人国では通らない、ということです(出入国在留管理庁「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の明確化等について」別紙3)。

研修として店舗業務が認められた事例

一方で、同じ事例集には大学卒業者の許可例もあります(2 許可事例(7))。「文学部を卒業し、総合食料品店の本社の総合職として期間の定めなく採用された者が、採用当初2年間実務研修としてスーパーマーケットの店舗において、商品の陳列、レジ打ち、接客及び現場における顧客のニーズ等を修得するものであり、同社のキャリアステッププランでは、日本人の大卒者と同様に2年の研修を修了した後に、本社の営業部門や管理部門、グループ内の貿易会社等において幹部候補者として営業や海外業務に従事することとなっているもの」。

事例集には、コンビニエンスストアの店長補佐としておよそ1年の実務研修を経て店長に就く計画が示された例(3-1 許可事例(14))も許可例として載っています。逆に、飲食チェーンの本社管理者候補として採用されながら、期間の定まらない店舗での接客や調理を数年続ける計画だった例は不許可です(2 不許可事例(5))。

技人国で店舗に立てるのは、日本人と同様に課される、期間と移行先が明確な実務研修の一部として行う場合に限られます。店頭販売を主たる職務にしたいなら、46号が正面の選択肢になります。

▶ 技人国そのものの要件と手続きは 外国人講師を雇用するための就労ビザと手続きで基礎から解説しています。

46号・技人国・留学(資格外活動)の比較表

表④ 特定活動46号・技術・人文知識・国際業務・留学(資格外活動)の比較
項目特定活動46号技術・人文知識・国際業務留学(資格外活動)
店頭販売可(通訳を兼ねた接客販売)原則不可(研修期間の例外あり)可(アルバイト)
対象者日本の大学等卒業者+N1またはBJT480点大学卒等または実務経験。日本語要件なし在学中の留学生
業務内容の要件双方向の日本語コミュニケーション+技人国相当の素養を使う業務学術上の素養を要する業務(単純作業は不可)風俗営業等を除き制限なし
雇用形態常勤のみ常勤が原則週28時間以内(長期休業中は1日8時間以内)
在留期間5年・3年・1年・6月・3月(初回・初回更新は原則1年)5年・3年・1年・3月在学期間による
家族の帯同可(特定活動)可(家族滞在)—
転職時指定書の内容が変わるため在留資格変更許可申請が必要所属機関の届出(職務内容により変更申請)—

留学生アルバイトから特定活動46号へ切り替える

小売店にとって46号の最大の価値は、今アルバイトで働いている留学生を、卒業後に正社員として継続雇用できることです。在学中に店の業務を覚え、日本語で接客できている人を、卒業と同時に手放す必要がなくなります。
留学生アルバイトから特定活動46号で正社員になるまで 在学中 留学(資格外活動) 週28時間以内 長期休業中は1日8時間以内 会社がやること 週28時間の上限を管理 卒業後の意向を確認 卒業前 内定・申請準備 常勤の労働条件を明示 在留資格変更許可申請 会社がやること 雇用理由書を作成 卒業証明書を待って申請 卒業後 特定活動46号 常勤(フルタイム) 在留期間は原則1年 会社がやること 通訳を兼ねた接客販売 仕入れ・商品企画も担当 2年目以降 在留期間の更新 初回の更新も原則1年 以後は5年・3年など 会社がやること 更新期限を会社でも管理 報酬は日本人と同等以上 内定は卒業前に。卒業と同時に在留資格を切り替え、継続して働いてもらう
図② 留学生アルバイトから特定活動46号で正社員になるまで

在学中:資格外活動は週28時間以内、長期休業中は1日8時間以内

留学生がアルバイトをするには資格外活動の許可が必要で、包括許可の範囲は「1週について28時間以内(教育機関の長期休業期間にあっては、1日について8時間以内)」です(出入国在留管理庁「『留学』の在留資格に係る資格外活動許可について」)。

この上限は、46号への切り替えのときにも効いてきます。ガイドラインは素行要件の例として、「資格外活動許可の条件に違反して、恒常的に1週について28時間を超えてアルバイトに従事していたような場合には、素行が善良であるとはみなされません」と明記しています(8(1)ア)。アルバイト中にシフトを入れすぎると、卒業後の46号が取れなくなるおそれがあります。正社員登用を見込む留学生ほど、在学中の時間管理を会社側でも徹底してください。

▶ 在留カードの確認や時間管理の実務は 飲食店の外国人スタッフ採用 完全ガイドで詳しく扱っています。

卒業前に動く:在留資格変更の申請時期と内定の出し方

46号への変更申請では、卒業証書の写しか卒業証明書(学位が確認できるもの)を提出します。そのため、卒業前に内定を出して書類の準備を済ませ、卒業証明書が出たら留学の在留期限内にすみやかに在留資格変更許可申請を行う、という段取りになります。申請から許可までの標準処理期間は1〜2か月なので、入社日はそれを見込んで設定します。

内定を出す際は、職務内容を「通訳を兼ねた接客販売、仕入れ・商品企画」のように46号の要件に合う形で定め、常勤の労働条件を明示します。この職務内容がそのまま雇用理由書の核になります。

なお、留学生を卒業後に特定技能「外食業」へ切り替える選択肢は、2026年4月13日以降に受理した在留資格変更が原則不許可となっており、現在ほぼ閉じています。小売は特定技能の対象外、外食業は停止中という状況が、46号の相対的な価値を上げています。

今いる留学生の継続雇用に加えて、卒業予定の留学生を新たに募集する場合は、掲載費・成功報酬・初期費用のかからないArigatoJobsのような外国人向け求人サイトで、多言語の求人を出す方法があります。在学中の留学生に卒業後の正社員登用を前提とした求人を見せられる点が、46号の採用では効きます。

採用までの手続きと必要書類

46号の採用は、人材紹介会社を通さず、在学中のアルバイトや無料求人媒体からの直接応募で進める企業が多く、紹介手数料が発生しない採用経路です。費用面では在留資格変更の手数料と、依頼する場合の行政書士報酬が中心になります。

会社側が準備する書類・本人が準備する書類

留学から特定活動46号への在留資格変更許可申請で提出する資料は、入管庁の提出資料一覧に定められています(出入国在留管理庁「本邦大学等卒業者 提出資料」)。

表⑤ 留学→特定活動46号の変更申請で提出する主な資料
用意する側資料備考
本人・会社在留資格変更許可申請書申請人等作成用1・2Nは本人、所属機関等作成用1N・2Nは会社が作成
本人写真(縦4cm×横3cm)申請前3か月以内に撮影、無帽・無背景、裏面に氏名
本人パスポート・在留カード提示のみ
本人学歴を証明する文書卒業証書の写しまたは卒業証明書(学位が確認できるもの)。高度専門士はその称号を証明する文書
本人日本語能力を証明する文書N1またはBJT480点以上の成績証明書の写し。外国の大学で日本語を専攻した場合は、学部・学科等が記載された卒業証書の写しまたは卒業証明書
会社労働条件を明示する文書の写し労働基準法に基づくもの
会社雇用理由書様式自由。雇用契約書の業務内容から、日本語を用いた業務など46号に該当する業務であることが明らかな場合は提出不要
会社事業内容を明らかにする資料会社案内、ホームページのトップページの写し、登記事項証明書のいずれか
会社所属機関の代表者に関する申告書参考様式

雇用契約書の業務内容だけで46号に該当することが明らかでなければ、雇用理由書を付けます。小売店の場合は「接客販売」とだけ書くと陳列・清掃中心と区別がつきにくいため、雇用理由書を付けておくほうが確実です。「日本語をどの業務でどう使うか」「大学で学んだ素養をどの業務で活かすか」を具体的に書きます。通訳を兼ねた接客販売、仕入れ、商品企画、多言語の販促物作成など、職務を列挙し、それぞれで日本語と素養が必要な理由を添えてください。

手数料(2026年10月1日改定後)と審査期間の目安

在留資格変更許可の手数料は、2026年10月1日受付分から許可される在留期間に応じた額になりました。留学からの変更は初回1年が原則なので、窓口で33,000円(収入印紙)、オンライン申請で27,000円+決済手数料330円です。標準処理期間は1か月〜2か月です(出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請」)。納付するのは本人ですが、会社が負担することを禁じる規定はありません。

▶ 費用の全体像と、採用ルート別の初年度総額は 外国人採用の費用相場にまとめています。

採用後に教えること:2026年11月1日から免税販売は「リファンド方式」に

免税店で採用した外国人スタッフに最初に教える業務の1つが免税手続きですが、その手続きが2026年11月1日から変わります。

「リファンド方式は、免税購入対象者の出国日からではなく、令和8年11月1日以降に輸出物品販売場で免税購入対象者に対して行う免税対象物品の譲渡(販売日)から適用されます」(国税庁「輸出物品販売場制度に関するQ&A(リファンド方式・概要編)」令和8年4月改訂)。

表⑥ リファンド方式で店頭の運用が変わる3点
項目2026年10月31日まで2026年11月1日以降スタッフに教えること
販売時の価格免税価格で販売税込価格で販売し、出国時に税関で持ち出しが確認された後に消費税相当額を返金「その場で免税にはならない」ことを購入者に説明する
購入者への説明消耗品の特殊包装・未開封の説明購入日から90日以内の出国時に、税関で旅券を提示し、求めに応じて物品を提示する必要がある旨90日・出国時・税関の3点を多言語で伝える
金額区分一般物品と消耗品を区分。消耗品は50万円が上限で特殊包装が必要区分を廃止。購入下限5千円の判定は区分せずに行い、消耗品の上限額と特殊包装要件は廃止包装作業がなくなり、購入記録情報の提供が中心になる

販売した店は「免税販売手続の際、遅滞なく国税庁(免税販売管理システム)に購入記録情報を提供しなければなりません」。あわせて、税関の確認は手荷物を機内に預けた後には受けられないため、「手荷物の機内預けをする前に税関の確認を受ける必要がある旨を説明」することも求められています(問2③)。返金の方法は法令で定められておらず、店ごとに銀行振込やクレジットカードへの返金などを決める必要があります。制度の詳細は国税庁のQ&Aを参照してください。本記事では、スタッフ教育で押さえる3点に絞っています。

雇用する際の注意点(職務内容・労務管理・更新・転職)

職務内容・派遣の可否・報酬・更新期限の4点が、運用でつまずきやすい論点です。

職務内容は、陳列や清掃だけにならないよう、通訳を兼ねた接客販売と素養を使う業務を中心に組みます。46号で認められるのは雇用契約を結んだ会社の業務だけで、「派遣社員として派遣先において就労活動を行うことはできません」(ガイドライン6(4))。人材派遣で小売店に配置する形は使えません。一方、「同一法人(法人番号が同一の機関)内の異動や配置換え等については、在留資格変更手続は不要です」(同6(2))。チェーン店で店舗間の異動をさせる場合も、同じ法人内なら手続きは要りません。

報酬は同じ業務の日本人と同等額以上です。外国人だからという理由で低く設定すると、更新時に不許可の要因になります。

在留期間は初回・初回更新とも原則1年です。更新の申請を忘れると在留資格を失うため、期限の管理を会社側でも行ってください。転職の場合、46号は所属機関が指定されているため、本人が在留資格変更許可申請を行う必要があります。採用する側も、他社の46号で在留している人を採る場合は変更申請が必要になることを前提に、入社日を設定します。

最後に、小売店の採用担当者から特に多い質問を、特定技能との違い・日本語要件・学歴・切り替え・永住の観点で整理します。社内説明や稟議のたたき台としてお使いください。

よくある質問(FAQ)

Q
特定技能と特定活動46号は何が違うのですか?
▾
特定技能は介護・外食業・宿泊など国が定めた分野の現場業務に就くための在留資格で、分野別の技能試験と日本語試験に合格すれば学歴は問われません。小売業・販売職は特定技能の対象分野に含まれていません。特定活動46号は、日本の大学などを卒業し、日本語能力試験N1またはBJT480点以上を持つ人が、通訳を兼ねた接客販売など日本語を使う幅広い業務に就くための在留資格で、小売店の接客販売が業務の例として認められています。小売店で店頭販売を任せたい場合は特定活動46号を使います。
Q
N1がなくても特定活動46号を申請できますか?
▾
日本語能力試験N1がない場合でも、BJTビジネス日本語能力テストで480点以上であれば日本語要件を満たします。また、日本または外国の大学・大学院で日本語を専攻して卒業した人も対象になります。それ以外の場合は日本語要件を満たさないため申請できません。日本語要件を満たしていても、日本の大学等を卒業していること、業務内容に通訳翻訳の要素や大学で学んだ素養を使う要素が含まれていることの両方が必要です。
Q
専門学校卒の留学生は特定活動46号の対象になりますか?
▾
対象になるのは、文部科学大臣の認定を受けた専修学校の専門課程を修了し、「高度専門士」の称号を得た人に限られます。2年制の専門学校を修了して「専門士」の称号を得ただけでは、特定活動46号の対象にはなりません。短期大学や高等専門学校の卒業者は、大学改革支援・学位授与機構の審査に合格して学士の学位を得ていれば対象になります。
Q
アルバイトで雇っている留学生をそのまま特定活動46号で採用できますか?
▾
できます。在学中に資格外活動許可で働いている留学生に卒業前に内定を出し、留学から特定活動46号への在留資格変更許可申請を行えば、卒業後に正社員として継続雇用できます。条件は、日本の大学等を卒業すること、日本語能力試験N1またはBJT480点以上を持っていること、常勤の雇用で、職務が通訳を兼ねた接客販売や仕入れ・商品企画など日本語と学んだ素養を使う内容であることです。週28時間の上限はなくなります。ただし46号で認められるのは雇用先の常勤職員としての業務なので、他社でアルバイトなどをするには別途、資格外活動の許可が必要です。
Q
特定活動46号で採用した人は永住申請できますか?
▾
特定活動46号で在留しながら永住許可を申請することは制度上可能ですが、永住許可には在留年数、素行、独立した生計、納税などの要件があり、出入国在留管理庁の永住許可に関するガイドラインで審査されます。46号での在留期間がどのように数えられるかは個別の事情によるため、申請前に入管庁または行政書士に確認してください。永住許可の手数料は2026年10月1日から200,000円です。

まとめ|店頭販売は46号で。要件は「N1+学歴+業務内容」の3つ

この記事のまとめ

小売店で外国人に店頭販売を任せたいなら、使う在留資格は特定活動46号です。入管庁のガイドラインは「小売店において、仕入れ、商品企画や、通訳を兼ねた接客販売業務を行うもの」を業務の例として明記し、技人国では小売店の接客販売が不許可になった事例が公表されています。

要件は日本の大学等の卒業、N1またはBJT480点、そして通訳を兼ねた接客販売に素養を使う業務を組み合わせた職務内容の3つ。今アルバイトで働いている留学生なら、卒業前に内定を出して変更申請をすれば、そのまま正社員として続けてもらえます。

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