外国人採用の費用は「採用ルート」で決まる

費用を予算に落とすときは、費目の一覧から始めるより、先に採用ルートを決めたほうが早く正確です。ルートが決まれば、発生する費目と発生しない費目がはっきりし、見積もりの比較軸も揃います。

初期費用とランニングコストを分けて見る

初期費用は、募集から入社までに一度だけかかる費用です。求人媒体の掲載費や紹介手数料、在留資格の申請に伴う手数料と行政書士報酬、海外から呼ぶ場合の渡航費と住居の初期費用、入社時の研修や備品がここに入ります。

ランニングコストは、入社後に毎月・毎年かかる費用です。特定技能1号で登録支援機関に支援を委託する場合の月額費用、在留期間の更新ごとにかかる手数料、日本語学習や通訳の費用、住居補助が該当します。給与や社会保険料は日本人を雇う場合と同じなので、本記事では「外国人採用に固有の費用」だけを扱います。

ルート別・1人採用した場合の初年度総額レンジ

結論の表を先に置きます。相場の列は民間の料金例をもとにした目安で、一次資料のある項目(在留手数料・試験料・監理費の調査値)だけ出典を付けています。各ルートの詳細は後の章で説明します。

表① 採用ルート別・1人採用した場合の初年度費用の構造
採用ルート初期費用の主な内訳ランニング費用本人に負担させられない費用向く採用関連記事
直接雇用(有料求人媒体)掲載費(媒体により数万〜数十万円)/在留手続の手数料・行政書士報酬更新時の手数料—(法令の定めなし)国内在住者を自社で選考できる企業無料求人サイトガイド
直接雇用(無料求人媒体)掲載費0円/在留手続の手数料・行政書士報酬更新時の手数料—募集費をかけずに母集団を作りたい企業ArigatoJobs(掲載費・成功報酬・初期費用なし)
人材紹介(国内在住者)紹介手数料(理論年収の20〜35%が目安)/在留手続更新時の手数料—短期間で確度高く採りたい企業人材紹介手数料の相場
人材紹介(海外在住者)紹介手数料/認定証明書の申請(手数料0円)/渡航費・住居初期費用更新時の手数料—国内に候補者が少ない職種同上
派遣・SES初期費用は小さい月額単価に採用費・管理費が内包—(雇用主は派遣元)短期の欠員補充SES・派遣と直接雇用の比較
特定技能1号紹介手数料(定額20万円〜の例)/試験受験料/渡航費・住居確保登録支援機関への委託費(月額2〜3万円が目安)または自社支援の人件費義務的支援の費用・通訳人の確保費・帰国費用(本人が負担できない場合)介護・宿泊など対象分野の現場職(外食業は2026年4月13日以降、新規の受入れが停止中)介護/宿泊/飲食
技能実習→育成就労監理団体への初期費用(OTIT調査の平均34万1,402円)監理費(同・1号の平均月額30,551円)監理費(実費限定・実習生に負担させられない)2027年4月以降は育成就労へ移行—

表の「目安」は、公的な料金表が存在しない費目です。紹介手数料は理論年収の定義や返金規定で実額が大きく変わり、登録支援機関の委託費も支援の範囲によって異なります。見積もりを比較するときは、金額の大小より先に、どの費用が含まれていてどれが別料金かを揃えてください。

外国人採用にかかる費用の内訳(6項目)

費目は6つに分解すると、見積もりの漏れと二重計上を防げます。図①は、採用ルートによってどの層が消えるかを示したものです。無料媒体で国内在住者を採れば、募集費と渡航費の2層がなくなります。
採用ルートによって、どの費用の層が消えるか 募集費 紹介料に含む 紹介・監理費 在留申請費 渡航・住居費 受け入れ・教育費 海外在住者を 人材紹介で採用 募集費 紹介・監理費 なし 在留申請費 渡航・住居費 なし 受け入れ・教育費 国内在住者を 有料求人媒体で採用 募集費 0円 紹介・監理費 なし 在留申請費 渡航・住居費 なし 受け入れ・教育費 国内在住者を 無料求人媒体で採用 発生する費用 発生しない(または他の費目に含まれる)費用
図① 外国人採用の費用の積み上げ構造

募集・採用活動の費用(求人媒体・ダイレクトリクルーティング)

求人媒体の掲載費、スカウトサービスの利用料、面接時の通訳手配が主な費目です。ハローワークは「求人のお申し込みに費用はかかりません」(新宿ハローワーク)と明記されており、外国人向けの無料求人媒体と組み合わせれば、募集費は0円にできます。

無料にするほど社内の工数は増えます。応募者への返信、面接日程の調整、在留カードの確認をテンプレート化しておくと、採用人数が増えても工数が膨らみません。

人材紹介・送出機関・監理団体の手数料

人材紹介の手数料には、法令上2つの型があります。厚生労働省が定める上限制手数料は、原則として支払われた賃金額(6か月を超えて雇用された場合は6か月分)の100分の11.0が上限で、受付手数料は1件710円です。期間の定めのない雇用で6か月を超えて雇用された場合は、臨時に支払われる賃金と3か月を超える期間ごとに支払われる賃金を除いた額の100分の14.8に相当する額との比較になります。免税事業者の場合はそれぞれ100分の10.3、100分の13.9です(厚生労働省「紹介手数料の最高額の改正について」)。もう1つの届出制手数料は、職業紹介事業者が厚生労働大臣に届け出た手数料表の額が上限になります。実務で一般的なのは届出制で、外国人採用では理論年収の20〜35%、特定技能では1人あたり定額20万円〜といった料金例が多く見られますが、これは各社の手数料表の話で、法定の率ではありません。

技能実習では、監理団体に支払う監理費が発生します。外国人技能実習機構のアンケート調査(令和3年9〜10月実施、有効回答631団体)では、定期費用の平均は1人あたり月額で技能実習1号30,551円、2号29,096円、3号23,971円、初期費用の平均は341,402円でした(外国人技能実習機構「監理団体が実習実施者から徴収する監理費等に関するアンケート調査結果」)。監理費は実費が前提で、監理団体はその規程をインターネットで公表する義務があります。

在留資格の申請手数料と行政書士報酬

在留資格に関わる費用は、国に納める手数料と、行政書士に申請取次を依頼する場合の報酬を分けて考えます。海外から呼ぶ場合に最初に行う在留資格認定証明書の交付申請は「手数料はかかりません」(出入国在留管理庁)。手数料がかかるのは、入国後の在留資格変更と在留期間更新、そして永住許可で、2026年10月1日に額が改定されました(次章)。

行政書士の報酬は事務所によって異なり、在留資格の変更・更新で10〜20万円程度の料金例が多く見られます。社内で申請できる手続きも多いので、最初の数件を外注して書類の型を作り、以降を内製化する企業もあります。

渡航・住居・生活立ち上げの費用

海外在住者を採用する場合は、航空券、空港からの送迎、住居の初期費用(敷金・礼金・保証会社・家具家電)がまとまって発生します。特定技能1号では、出入国する空港への送迎の交通費は受入れ機関の負担です(出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q83)。住居については、確保の支援は義務ですが、本人が賃借人になる場合の敷金・礼金は「1号特定技能外国人において負担するもの」とされ、会社が任意に負担することは妨げられていません。家賃債務保証業者を使う場合の保証料は、会社の負担です(出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」、特定技能Q&A Q89)。

国内在住者を採用すれば、この層はほぼ丸ごと消えます。初年度総額を抑えたい場合、国内在住者を優先するのは最も効果の大きい選択です。

入社後の受け入れ・教育・支援の費用

オリエンテーション、現場教育、日本語学習の支援、相談窓口の整備がここに入ります。特定技能1号は支援が義務なので、自社で実施するなら担当者の人件費、登録支援機関に委託するなら月額費用が継続します。

外国人を雇い入れたときと離職したときは、外国人雇用状況の届出がすべての事業主に義務づけられており、怠ったり虚偽の届出をしたりすると30万円以下の罰金の対象になります(厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」)。

2026年10月1日改定:在留手数料はこう変わった

「在留資格の変更・更新は6,000円」と書かれた記事をまだ多く見かけますが、これは2026年9月30日受付分までの旧額です。更新の予算を一律で見ている企業は、ここで組み直しが必要です。

10月1日以降に受け付けた申請から、許可される在留期間に応じた額に変わりました(出入国在留管理庁「令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について」)。

在留資格変更・更新は「在留期間別の7区分」に

表② 在留資格変更・在留期間更新の手数料(2026年10月1日受付分から)
許可される在留期間窓口(収入印紙)オンライン申請
3月以下10,000円10,000円+決済手数料330円
3月超6月以下18,000円15,000円+330円
6月超1年未満25,000円21,000円+330円
1年33,000円27,000円+330円
1年超3年未満48,000円42,000円+330円
3年以上5年未満64,000円56,000円+550円
5年以上75,000円65,000円+550円

許可時に特定在留カードの交付を受ける人は、上記の額に特定在留カードの交付手数料が加わる場合があります。出典:出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請」「在留期間更新許可申請」「オンライン申請の手数料」(2026年10月9日取得)

同じ更新申請でも、1年が許可されれば33,000円、1年超3年未満なら48,000円、3年以上5年未満なら64,000円、5年以上なら75,000円と、結果によって額が変わります。留学からの変更や初回の更新は1年になることが多いため、採用初年度は33,000円(オンライン27,330円)を見込んでおくのが現実的です。

永住許可は20万円に

永住許可の手数料は、改定前の10,000円から200,000円になりました(出入国在留管理庁「永住許可申請」)。納付するのは本人ですが、永住申請の費用を福利厚生として補助している企業は、規程の見直しが必要です。

経過措置と減額制度

経過措置は、在留資格変更許可申請の案内に明記されています。

2026年9月30日までに受付した申請については、当該申請に係る許可が10月1日以降となっても、改定前の手数料(6,000円)による納付となります。

つまり、9月中に申請していれば、許可が10月にずれ込んでも旧額です(出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請」注1)。オンライン申請の旧額は5,500円でした。

経済的困難などの理由で一定の要件を満たす場合には減額制度があり、減額後の手数料は変更・更新が在留期間にかかわらず10,000円、永住許可が20,000円です。

採用ルート別の費用構造

各ルートで「必ず発生する費用」「本人に負担させられない費用」「関連記事」を並べます。

直接雇用(求人媒体・無料媒体・リファラル)

紹介手数料が発生しないため、初期費用は募集費と在留手続きだけです。有料媒体なら掲載費、無料媒体なら0円。国内在住者を採るなら渡航費も住居初期費用もかかりません。費用面で最も軽いルートですが、選考と在留資格の適合確認を自社で担います。

人材紹介(国内在住者・海外在住者)

紹介手数料が初期費用の中心です。国内在住者なら総額が読みやすく、海外在住者なら渡航費と住居初期費用が加わります。手数料の算定根拠(理論年収の定義、税込か税別か)、返金規定、在留手続きが含まれるかを見積書で確認してください。

▶ 手数料の仕組みと見積書の読み方は 外国人エンジニアの人材紹介手数料相場とは?費用内訳と見積もりの読み方で詳しく扱っています。

派遣・SES

初期費用は小さく見えますが、月額単価に採用費・在留手続き・管理費が内包されています。長期になるほど総額は直接雇用を上回りやすいため、契約期間の見込みを置いて比較します。雇用主は派遣元なので、在留資格の手続きと支援も派遣元の責任です。

▶ 比較の考え方は 外国人エンジニアはSES・派遣と直接雇用どちらが最適?を参照してください。

特定技能(登録支援機関・試験・支援費)

特定技能1号は採用経路ではなく在留資格で、直接雇用でも紹介経由でも、受入れ機関には事前ガイダンスや住居確保の支援などの義務的支援が課されます。支援を登録支援機関に委託する場合の費用は月額2〜3万円程度の料金例が多く見られますが、これも各機関の設定で、公的な料金表はありません。

2027年4月1日から支援体制の要件が厳しくなり、支援担当者は常勤で、委託を受ける機関数や支援する外国人の数に応じた人数が必要になり、支援責任者には養成講習の受講が義務づけられます(出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q97)。委託費の見積もりは、この改正後の体制を前提にしたものか確認してください。

試験の受験料は、試験実施機関の料金表によると国内で、日本語のJFT-Basicが10,000円、介護は技能と日本語の2つの試験がそれぞれ2,000円程度(2026年4月1日以降の実施分。両方受けると約4,000円、厚生労働省「介護技能評価試験及び介護日本語評価試験の受験料改定について」)、宿泊業技能測定試験が7,700円、農業・飲食料品製造業・工業製品製造業の各試験が8,000円です(プロメトリック 特定技能評価試験 受験料。2026年10月9日取得)。

なお外食業は、2026年4月13日以降に受理した在留資格認定証明書の交付申請を「不交付」、特定技能1号への在留資格変更を「原則として不許可」としており、新規の受入れが止まっています(出入国在留管理庁 外食業分野)。

▶ 分野固有の要件は 介護で外国人を採用する方法、飲食店の外国人スタッフ採用 完全ガイド、特定技能「宿泊」の受け入れ完全ガイドを参照してください。

技能実習から育成就労へ(監理費・送出し費用・2027年4月施行)

技能実習の費用は、監理団体への初期費用と月額の監理費が中心です(前述のOTIT調査では初期費用の平均341,402円、1号の監理費の平均月額30,551円)。技能実習制度は、一部の規定を除き令和9年(2027年)4月1日に育成就労制度へ移行します(出入国在留管理庁「育成就労制度」)。これから長期契約を結ぶ場合は、制度移行時の費用見直し条項を入れておくと安全です。

技術・人文知識・国際業務/特定活動46号(国内在住者の採用)

国内在住の転職者や留学生の卒業者を採る場合、特定技能のような義務的支援はなく、費用は募集費か紹介手数料と、在留資格の変更・更新手数料が中心です。留学から特定活動46号への変更で初回1年が許可されれば、窓口33,000円です。

▶ 小売店の接客販売に留学生を採用する場合の要件と手続きは 特定活動46号で留学生を接客販売に採用する方法にまとめています。

その費用、誰が負担するのか

費用負担のルールは、在留資格によって3種類に分かれます。法令で本人負担が禁じられているもの、実費に限定されているもの、法令の定めがなく会社の方針で決めるものです。
表③ 費用項目ごとの負担者(特定技能1号を中心に)
費用項目負担者根拠
義務的支援(事前ガイダンス・住居確保・生活オリエンテーション・相談対応など)の費用受入れ機関。本人に負担させることは認められない入管庁 特定技能Q&A Q76・Q79・Q80
通訳人の確保に要する費用受入れ機関同 Q81
出入国する空港への送迎の交通費受入れ機関同 Q83
帰国費用本人が負担できない場合は受入れ機関同 Q82
通院・入院に同行する支援担当者の交通費・日当特定技能所属機関等1号特定技能外国人支援に関する運用要領
受入れ機関の案内で利用する申請取次の費用特定技能所属機関等(本人が独自の判断で依頼する場合を除く)同上
送出しに必要な費用(渡航前の教育費・渡航費など)全部または一部を所属機関が負担することが「推奨」(義務ではない)同上
技能実習の監理費実習実施者。実費限定で、技能実習生等から負担を求めることはできない外国人技能実習適正実施マニュアル/技能実習制度運用要領 第5章
在留手数料(変更・更新・永住)納付するのは本人。会社負担を禁じる規定はない入管庁 各申請ページ

特定技能:義務的支援の費用は本人に負担させられない

入管庁のQ&Aは明確です。「受入れ機関が実施しなければならない支援については受入れ機関が負担しなければなりません」(Q79)。「これらの支援を実施するためにかかった費用については本人に負担させることは認められません」(Q76)。通訳人の確保費用(Q81)、空港への送迎の交通費(Q83)も受入れ機関の負担です(出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」)。登録支援機関に委託しても、この負担が本人に移ることはありません。

技能実習:監理費は実費限定で、実習生に負担させられない

監理団体は、用途と金額をあらかじめ明示したうえで、実費の額を超えない範囲で監理費を実習実施者から徴収します。監理費を除き、実習実施者・技能実習生・送出機関などから手数料や報酬を受けることはできず(技能実習法第28条)、監理費の徴収を含む業務運営の規程は、原則としてインターネットで公表することが義務づけられています(外国人技能実習機構「技能実習制度運用要領」第5章)。監理費の種類は職業紹介費・講習費・監査指導費・その他諸経費で、「技能実習生等からは、直接的又は間接的にも、負担を求めることはできません」(外国人技能実習機構「外国人技能実習適正実施マニュアル」)。見積もりに「定額」とだけ書かれている場合は、何の実費に対する額かを確認してください。

在留手数料:納付するのは本人。会社負担を禁じる規定はない(特定技能は申請取次費用に注意)

在留資格変更・更新・永住許可の手数料を納付するのは申請人本人で、会社が負担することを禁じる規定はありません。会社負担にする場合は、対象者と範囲を就業規則や雇用契約で決めておくと公平に運用できます。

ただし特定技能1号には例外があります。1号特定技能外国人支援に関する運用要領(令和7年4月1日一部改正)は、「特定技能所属機関等の案内に基づき申請時の同行に代えて申請取次を利用するときの費用については、特定技能所属機関等が負担する必要があります」と定めています(出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」)。会社の案内で行政書士に申請取次を頼ませるなら、その報酬は会社負担です。本人が独自の判断で依頼する場合は除かれます。収入印紙代(手数料そのもの)は、この規定の対象ではありません。

外国人を1人採用した場合の費用シミュレーション

2つのモデルケースで初年度の費用を積み上げます。給与・社会保険料・通常の家賃は含めず、外国人採用に固有の費用だけです。「目安」の行は民間の料金例で、企業ごとに変わります。

海外在住者を特定技能で採用する場合

表④-1 海外在住者を特定技能1号で採用した場合の初年度費用(人材紹介経由・登録支援機関に委託)
費目金額区分
紹介手数料定額20万円〜の料金例目安
日本語試験(JFT-Basic)受験料10,000円一次資料あり
在留資格認定証明書交付申請0円一次資料あり
渡航費・空港送迎航空券は国・時期で変動。送迎の交通費は受入れ機関負担一部一次資料あり
住居の初期費用敷金・礼金は本人が賃借人なら本人負担(会社が任意に負担することは可)。家賃債務保証業者の保証料は会社負担一次資料あり(金額は地域・物件で変動)
登録支援機関への委託費(12か月)月額2〜3万円×12=24〜36万円の料金例目安
就労環境の整備(多言語マニュアル等)助成金で一部相殺可(後述)—

このケースでは、紹介手数料と支援委託費の2つで総額の大半が決まります。なお、2025年から始まった入国前結核スクリーニングは、特定技能外国人が当面の間対象外とされているため、このケースには計上しません(厚生労働省 入国前結核スクリーニング特設サイト)。技術・人文知識・国際業務などで対象国籍(フィリピン・ネパール・ベトナムは実施中、インドネシアは2027年1月4日から予定)の人を海外から採用する場合は、スクリーニングの費用は「申請者ご自身でご負担ください」とされているため、会社が補助する場合にのみ費用項目に入ります。

国内在住の転職者を技人国で採用する場合

表④-2 国内で技術・人文知識・国際業務で働いている人を転職で採用した場合の初年度費用(無料求人媒体経由)
費目金額区分
募集費0円(ハローワーク・無料求人媒体を使う場合)ハローワークは一次資料あり
所属機関に関する届出(本人が14日以内に届出)在留資格の変更は通常不要一次資料あり
在留期間更新(次回の更新時、1年が許可された場合)窓口33,000円/オンライン27,330円一次資料あり
行政書士報酬(依頼する場合)10〜20万円程度の料金例目安
渡航費・住居初期費用0円(国内在住)—
入社時研修社内実施なら人件費のみ—

同じ技術・人文知識・国際業務のまま転職する場合、在留資格の変更は通常必要なく、本人が転職から14日以内に所属機関に関する届出を行います(出入国在留管理庁「所属(契約)機関に関する届出」)。採用時に在留手数料はかからず、次の在留期間更新のときに表②の額が発生します。新しい職務が在留資格に合うか不安な場合は、就労資格証明書(オンライン1,600円+決済手数料220円)で確認する方法もあります。

費用を抑える4つの方法

効果の大きい順に、国内在住者の優先、募集費の削減、オンライン申請、助成金の活用です。最後に、最も効く「再採用を発生させないこと」を加えます。

募集費をゼロにする(ハローワーク・無料求人媒体)

ハローワークの求人申込みは無料です。外国人に特化した無料求人媒体を併用すれば、母集団を広げながら募集費を0円に保てます。ArigatoJobsは掲載費・成功報酬・初期費用がかからない外国人向け求人サイトで、多言語で求人を出せます。募集費をかけずに直接応募を集める選択肢として、有料の採用ルートに費用をかける前に試す価値があります。

オンライン申請で手数料を下げる

表②のとおり、オンライン申請は窓口より本体額が低く設定されています。1年の許可なら窓口33,000円に対してオンライン27,000円+決済手数料330円で、差は5,670円です。更新のたびに発生する差なので、申請件数が多い企業ほど効きます。ただし、在留申請オンラインシステムでの申請は減額措置に対応していないため、減額の対象になる人は窓口で申請します(出入国在留管理庁「オンライン申請の手数料」注3)。

助成金で相殺する(制度名と上限額)

表⑤ 外国人採用で使える主な助成金(制度名と額)
制度名額主な要件注意点
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)20万円(一時帰国のための休暇制度などの上乗せ措置を実施した場合は25万円)雇用労務責任者の選任と、就業規則・社内マニュアル等の多言語化の2つが必須。雇用労務責任者は講習を受講し、外国人労働者と3か月ごとに1回以上面談。計画期間終了後6か月経過後の外国人労働者の離職率が15%以下。一時帰国のための休暇制度を整備すると上乗せ令和8年10月1日以降に就労環境整備計画を提出する場合の額と要件。認定を受けた計画に基づいて措置を導入・実施する。改正後の申請は、2026年10月時点では電子申請ではなく管轄の労働局へ持参または郵送
キャリアアップ助成金(正社員化コース・中小企業)有期→正規 40万円(重点支援対象者は80万円)有期雇用の労働者を正社員に転換外国人に限らず利用可。年度ごとに額が見直される

出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」「令和8年度 雇用・労働分野の助成金のご案内(簡略版)」(令和8年4月8日時点。同資料の就労環境整備助成コースの記載は改正前の内容)(2026年10月取得)

就労環境整備助成コースは、就労環境整備計画の認定を受け、その計画に基づいて措置を導入・実施することが要件です。措置を先に入れてしまうと対象にならないため、採用計画の早い段階で計画を提出してください。令和8年10月1日の改正で措置の内容が見直され、計画の提出日によって使う様式が異なります。

早期離職を防ぐ受け入れ設計

最も大きな費用削減は、再採用を発生させないことです。入社後に辞められると、募集費・在留手続き・教育のすべてがやり直しになります。入社前に手取り額・住居・仕事内容・シフトを本人が理解できる言語で説明し、入社後の相談窓口を決めておくだけで、早期離職の確率は下がります。

見積もり比較で押さえるチェックリスト

複数社の見積もりを比べるときは、次の4点を揃えてから金額を見てください。
  • 理論年収の定義(基本給のみか、手当・賞与を含むか)と、税込か税別か
  • 含まれる支援の範囲(在留手続き・翻訳・入社後フォロー)と、別料金になる項目
  • 返金規定(早期退職時の対象期間と返金率)
  • 特定技能の場合、支援委託費の月額と、通訳・送迎などオプションの単価

▶ 見積書の読み方と交渉のポイントは 外国人エンジニアの人材紹介手数料相場とは?費用内訳と見積もりの読み方で詳しく解説しています。

最後に、費用の見積もりでつまずきやすい点を、負担者・更新費用・名目・削減策の観点で整理します。社内説明や稟議のたたき台としてお使いください。

よくある質問(FAQ)

Q
外国人採用の費用は誰が負担するのですか?
▾
在留資格によって異なります。特定技能1号では、事前ガイダンスや住居確保などの義務的支援にかかる費用、通訳人の確保費用、空港送迎の交通費は受入れ機関の負担で、本人に負担させることは認められていません。技能実習の監理費は実費に限られ、実習生に負担させられません。在留資格の変更・更新・永住許可の手数料は本人が納付しますが、会社が負担することを禁じる規定はなく、会社の方針で補助できます。
Q
在留資格の更新にかかる費用はいくらですか?
▾
2026年10月1日受付分から、許可される在留期間に応じて額が変わります。窓口申請の場合、3月以下は10,000円、1年は33,000円、1年超3年未満は48,000円、3年以上5年未満は64,000円、5年以上は75,000円です。オンライン申請は本体額が低く、1年なら27,000円に決済手数料330円を加えた額になります。行政書士に依頼する場合は、別途報酬がかかります。
Q
特定技能の「受入負担金」とは何ですか?
▾
法令上の用語ではなく、登録支援機関や人材紹介会社が、支援委託費・初期設定費・通訳や送迎のオプション費用をまとめて請求する際の名目として使われることがあります。何に対する費用かを分解して確認してください。義務的支援にかかる費用は受入れ機関の負担で本人には転嫁できないため、内訳が「本人負担」に見える形になっていないかも確認が必要です。
Q
外国人採用の費用を抑えるにはどうすればよいですか?
▾
効果の大きい順に、国内在住者を優先して渡航費と住居初期費用をなくすこと、無料求人媒体で募集費を0円にすること、オンライン申請で在留手数料の本体額を下げること、就労環境整備の助成金で受け入れ体制の費用を相殺することです。最も大きいのは早期離職を防ぐことで、再採用が発生しなければ初期費用を二重に払わずに済みます。

まとめ|ルートを決めれば総額は読める。改定後の手数料で予算を組み直す

この記事のまとめ

外国人採用の費用は、採用ルートと在留資格で構造が決まります。国内在住者を無料媒体で直接雇用すれば初期費用は在留手続きだけ、海外在住者を特定技能で採れば紹介手数料と支援委託費が総額の大半を占めます。

2026年10月1日の改定で在留手数料は在留期間別の7区分になり、永住許可は20万円になりました。更新費用を一律6,000円で見ていた予算は組み直してください。

募集費をかけずに外国人の直接応募を集めたい場合は、掲載費・成功報酬・初期費用のかからないArigatoJobsで求人を出す方法があります。

参考資料(一次情報)

本記事の根拠とした官公庁等の一次資料です(2026年10月取得)。手数料・助成金の額は改定があるため、実務で判断する際は各資料の最新版をご確認ください。